古キョン 『甘え』
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*古キョン 『甘え』 [#c4606d6c]
#br
急いでいた。とにかく俺は急いでいた。~
ああ忌々しい、なんで俺があいつのために焦らなきゃならんの...
はあ、と本日何度目になるだろう。途中から数える気も無くし...
自分と同じ制服の学生がちらほらと見えるだけで、後はごく一...
小銭を探す時間を省こうと札で払ったらバイトの店員がお釣り...
くそ、しくじったか。~
それはそうとなんで俺がこんなに焦ってるのか、そろそろ気...
いや、ある意味ではそうなのだが、とにかくハルヒのせいでは...
あいつ――わざわざこう呼ぶことで誰のことかは察してもらいた...
というわけではい、回想スタート。~
いつも通りの放課後になるはずだった。俺がテストの出来に...
まあそれでも、一応あのどことなく教室の空気が重くなるテス...
普段ならほぼ何も考えず無意識に近い状態で部室まで歩き、そ...
そしてたどり着いた結論は(まあここはどうでもいいのだが)...
いつも向こうから誘われているが今日は俺から言ってやろうと...
まあそんな風だったから、ハルヒのその言葉を聞いたときに...
「は?古泉くんなら今日は――」~
なんだそれ、俺は聞いてない。まず思ったのはそんなことだ...
携帯を確認してみたって一通のメールも入っていない。着信だ...
いや仮にも好きだと言い合った関係で、自惚れということはな...
つまりアレだ心配をかけたくないとか、どうせそんな有りがち...
っていうかそうじゃないと困る。そうであってくれ。だって知...
古泉が、風邪で学校を休んでいるだなんて。~
それからのハルヒの言葉は疑いたくなるほど常識的なものだ...
あの絶対お見舞いに行きたがりそうなハルヒが俺に無理やり鞄...
「古泉君のことだから私たちが行ったら気を使うと思うのよ。...
もちろん俺には好都合だった。なぜ連絡を寄越さなかったかも...
俺は古泉が、かなり心配だったんだ。~
というわけで回想終わり。アイツの家に向かうまでに立ち寄...
つまり俺が買ったのは、いわゆる冷えピタなどと呼ばれるもの...
ここからはもう歩きで三分ほどである。少し早歩きで向かいな...
古泉は知らんが俺に余裕なんてあるはずがない。~
そんなこんなで学校を出てから30分、ようやく古泉の家の...
どこにでもありふれたごく普通なアパートの二階、右から三番...
柄にもなく少し緊張しながらそれに手を伸ばしかけた瞬間、触...
「あれ?こんなところで何を…」~
これは古泉の言い分である。それはこっちの台詞だ。なんでお...
「そう言われましても困りますね。何せ一人暮らしですから、...
いつもより少し掠れた声で言いながら、古泉はいつものように...
古泉が少し困ったような、あるいは少し不安そうな顔をする。~
「いいから戻れ、寝てろ。」~
「でも家には何も無いですし…。」~
「米だけでもありゃ粥くらい作ってやる。」~
そうキッチンを指さしながら言うと、ようやく諦めたかのよう...
足取りはまあそれなりにだが安定しているし、もうそこまで熱...
それでもコイツのことだ、痩せ我慢というのも考えられるしな。~
何度か自分も入ったことのあるベッドに寝かせて、熱はどれ程...
すると古泉はゆっくり首を横に振って、「分かりません、朝以...
俺は長門のように触っただけで的確な温度が分かるわけでは...
少し汗で湿った前髪を横に分けて手を置くと、予想外というべ...
お前なあ…と言いかけやっぱり飲み込んで、粥でも作ろうと立ち...
すると古泉は、俺の制服の裾をぴんと引っ張って呼び止めた。~
「あの、大丈夫です。その袋、僕に買ってきてくださったんで...
なに言ってんだ、お前が実はよく食うことも知ってる。いくら...
熱の高さを知ってしまったものだからどうしても無理をしてい...
「あのなあ、ハルヒの前でもないんだから、無理して笑うこと...
「…そういうわけにもいきませんよ。それに本当にもう十分なの...
あくまでその姿勢を貫くつもりなのか。ああもうじれったい、...
「言ってんだろうが、無理すんな、気を使うな、笑うな。辛い...
一回しか言わねえぞ、俺はお前が好きだから心配なんだ。」~
なんとまあ、我ながら恥ずかしいことを言ったものだろう。...
ここまで来たらもう何でもしてやろうじゃねえかと開き直り、...
男子高校生2人で一体俺たちは何をやっているんだろうな、...
しばらくそのままでいると、古泉はさっきの俺のように長い溜...
…やっぱり高校生にもなって頭を撫でられるのは不快だったか。...
「違います。…もう、だから連絡しなかったんですよ。あなたが...
「甘えりゃいいだろう。」~
「涼宮さんの前でイメージを保つのって結構大変なんですよ。~
一度気を抜けば、今度ボロが出てしまうかもしれないじゃな...
「その時は…俺がフォローしてやる。だからなんでも言え。」~
言ってからどうやってフォローするつもりなんだ俺は、と自分...
「あの、じゃあいいですか。」~
いいも悪いもないだろう。俺が言えと言ったんだからな。~
「頭が、痛いんですよ。」~
「ああ。」~
「喉も、喋り辛くて」~
「ああ。」~
「本当は、だれかにそばにいてほしかったんです。」~
ぽつりぽつりと一言ずつ区切るような喋り方が普段の古泉と...
誰も濡れタオルなんか乗せてくれない、水も持ってきてくれな...
いつ神人退治に行かなきゃいけなくなるか分からないような毎...
「…せめて、僕が寝るまでは、ここにいてください。」~
風邪のせいかもしくは泣いていたのか(おそらく前者だろうが...
「分かった。」~
答えなんか決まってる。むしろ言われなくたっているつもり...
だから今日だけはハルヒや閉鎖空間、機関とやらのことは忘れ...
またお前がいつもの笑顔で学校に来たときには、俺はいつも...
それからオセロでもしようじゃないか。~
なあ、古泉。~
~
終了行:
*古キョン 『甘え』 [#c4606d6c]
#br
急いでいた。とにかく俺は急いでいた。~
ああ忌々しい、なんで俺があいつのために焦らなきゃならんの...
はあ、と本日何度目になるだろう。途中から数える気も無くし...
自分と同じ制服の学生がちらほらと見えるだけで、後はごく一...
小銭を探す時間を省こうと札で払ったらバイトの店員がお釣り...
くそ、しくじったか。~
それはそうとなんで俺がこんなに焦ってるのか、そろそろ気...
いや、ある意味ではそうなのだが、とにかくハルヒのせいでは...
あいつ――わざわざこう呼ぶことで誰のことかは察してもらいた...
というわけではい、回想スタート。~
いつも通りの放課後になるはずだった。俺がテストの出来に...
まあそれでも、一応あのどことなく教室の空気が重くなるテス...
普段ならほぼ何も考えず無意識に近い状態で部室まで歩き、そ...
そしてたどり着いた結論は(まあここはどうでもいいのだが)...
いつも向こうから誘われているが今日は俺から言ってやろうと...
まあそんな風だったから、ハルヒのその言葉を聞いたときに...
「は?古泉くんなら今日は――」~
なんだそれ、俺は聞いてない。まず思ったのはそんなことだ...
携帯を確認してみたって一通のメールも入っていない。着信だ...
いや仮にも好きだと言い合った関係で、自惚れということはな...
つまりアレだ心配をかけたくないとか、どうせそんな有りがち...
っていうかそうじゃないと困る。そうであってくれ。だって知...
古泉が、風邪で学校を休んでいるだなんて。~
それからのハルヒの言葉は疑いたくなるほど常識的なものだ...
あの絶対お見舞いに行きたがりそうなハルヒが俺に無理やり鞄...
「古泉君のことだから私たちが行ったら気を使うと思うのよ。...
もちろん俺には好都合だった。なぜ連絡を寄越さなかったかも...
俺は古泉が、かなり心配だったんだ。~
というわけで回想終わり。アイツの家に向かうまでに立ち寄...
つまり俺が買ったのは、いわゆる冷えピタなどと呼ばれるもの...
ここからはもう歩きで三分ほどである。少し早歩きで向かいな...
古泉は知らんが俺に余裕なんてあるはずがない。~
そんなこんなで学校を出てから30分、ようやく古泉の家の...
どこにでもありふれたごく普通なアパートの二階、右から三番...
柄にもなく少し緊張しながらそれに手を伸ばしかけた瞬間、触...
「あれ?こんなところで何を…」~
これは古泉の言い分である。それはこっちの台詞だ。なんでお...
「そう言われましても困りますね。何せ一人暮らしですから、...
いつもより少し掠れた声で言いながら、古泉はいつものように...
古泉が少し困ったような、あるいは少し不安そうな顔をする。~
「いいから戻れ、寝てろ。」~
「でも家には何も無いですし…。」~
「米だけでもありゃ粥くらい作ってやる。」~
そうキッチンを指さしながら言うと、ようやく諦めたかのよう...
足取りはまあそれなりにだが安定しているし、もうそこまで熱...
それでもコイツのことだ、痩せ我慢というのも考えられるしな。~
何度か自分も入ったことのあるベッドに寝かせて、熱はどれ程...
すると古泉はゆっくり首を横に振って、「分かりません、朝以...
俺は長門のように触っただけで的確な温度が分かるわけでは...
少し汗で湿った前髪を横に分けて手を置くと、予想外というべ...
お前なあ…と言いかけやっぱり飲み込んで、粥でも作ろうと立ち...
すると古泉は、俺の制服の裾をぴんと引っ張って呼び止めた。~
「あの、大丈夫です。その袋、僕に買ってきてくださったんで...
なに言ってんだ、お前が実はよく食うことも知ってる。いくら...
熱の高さを知ってしまったものだからどうしても無理をしてい...
「あのなあ、ハルヒの前でもないんだから、無理して笑うこと...
「…そういうわけにもいきませんよ。それに本当にもう十分なの...
あくまでその姿勢を貫くつもりなのか。ああもうじれったい、...
「言ってんだろうが、無理すんな、気を使うな、笑うな。辛い...
一回しか言わねえぞ、俺はお前が好きだから心配なんだ。」~
なんとまあ、我ながら恥ずかしいことを言ったものだろう。...
ここまで来たらもう何でもしてやろうじゃねえかと開き直り、...
男子高校生2人で一体俺たちは何をやっているんだろうな、...
しばらくそのままでいると、古泉はさっきの俺のように長い溜...
…やっぱり高校生にもなって頭を撫でられるのは不快だったか。...
「違います。…もう、だから連絡しなかったんですよ。あなたが...
「甘えりゃいいだろう。」~
「涼宮さんの前でイメージを保つのって結構大変なんですよ。~
一度気を抜けば、今度ボロが出てしまうかもしれないじゃな...
「その時は…俺がフォローしてやる。だからなんでも言え。」~
言ってからどうやってフォローするつもりなんだ俺は、と自分...
「あの、じゃあいいですか。」~
いいも悪いもないだろう。俺が言えと言ったんだからな。~
「頭が、痛いんですよ。」~
「ああ。」~
「喉も、喋り辛くて」~
「ああ。」~
「本当は、だれかにそばにいてほしかったんです。」~
ぽつりぽつりと一言ずつ区切るような喋り方が普段の古泉と...
誰も濡れタオルなんか乗せてくれない、水も持ってきてくれな...
いつ神人退治に行かなきゃいけなくなるか分からないような毎...
「…せめて、僕が寝るまでは、ここにいてください。」~
風邪のせいかもしくは泣いていたのか(おそらく前者だろうが...
「分かった。」~
答えなんか決まってる。むしろ言われなくたっているつもり...
だから今日だけはハルヒや閉鎖空間、機関とやらのことは忘れ...
またお前がいつもの笑顔で学校に来たときには、俺はいつも...
それからオセロでもしようじゃないか。~
なあ、古泉。~
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