*谷口←国木田(古キョンベース) On your mark [#v23bf0a0]
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 今日は休日…なんだけど、目の前には毎日学校で見る顔が揃ってる。涼宮さん発案の企画に、キョンからの要請で臨時要員として借り出されてるからだ。~
 キョンや涼宮さん、僕と一緒に借り出された谷口、同じく借り出されたらしい鶴屋さん達が何か話してるのを、僕は少し離れた場所で座って眺めてた。僕の隣には、僕と同じようにキョン達を眺めてる古泉君がいる。~
 あんまり話す機会もないし、これは良いチャンスかも。~
「古泉君に訊いてみたい事があったんだけど、いいかな」~
「何でしょう」~
 必要以上の爽やかさを備えた笑顔で、古泉君は僕の顔を見て小首をかしげた。~
「どうやってキョン落としたの?」~
「……はい?」~
 これでもかと言うくらい直球な僕の質問に、爽やかスマイルがフリーズする。~
「あれ、外した?絶対そうだと思ったんだけど」~
「あ、いえ、あの…」~
 白々しく続けた僕に、スマイルを維持したままで…って言っても少し引き攣ってるような気はするけど、古泉君は言葉を詰まらせた。~
「何故お分かりに…?」~
 歯切れの悪さがちょっと意外だ。正直言うと白を切り通される事も想定してたんだけど…案外面白いなー、この人。~
「んー、なんとなく。一応、キョンとの付き合いは一番長いからね」~
 なんて、ホントはそれだけじゃないんだけどイイよね。別に。~
「キョンは隠してるつもりだろうから、僕も気付いてないフリしとくつもりだけど」~
「…降参、ですね。君の方が何枚も上手のようです」~
 少しだけ力なく笑って、古泉君が視線を前方に戻す。その視線の先には、もちろんキョンがいる。~
 その隣には、キョンの肩に腕を掛けて馬鹿笑いしてる谷口がいた。可愛い女の子に囲まれて、すっかり舞い上がっちゃってるのがよく分かる。~
「それで、どうやったの?キョンってノンケでしょ」~
「どう…と言われましても、特別な手法を取ったわけではありませんよ」~
 クスっと笑って肩を竦めながら、前を向いたままの横顔が言う。~
「ただ僕が僕の想いを彼に伝えて、彼がそれに応えてくださった。それだけです」~
「ふぅん…でも分かるような気はするかな。ノンケ相手じゃ下手に小細工したって気付かなさそうだし。ストレートに言った方がいいのかも」~
「どなたか意中の方がいらっしゃるんですか?」~
「……」~
「…?」~
 僕の事に興味を示したのがちょっと意外で、思わず古泉君の顔をまじまじと見てしまった。古泉君は笑顔のまま、少し不思議そうに首を傾けてる。~
「うん。でも相当ニブそうだから作戦でも立てようかと思って。あ、安心していいよ。キョンじゃないから」~
「そんなつもりでお訊きしたわけでは…」~
「あはは。うん、分かってる。冗談だよ」~
 苦笑する古泉君から視線を外して前を見る。僕の視線の先には、ハイテンションな周囲についていけてない呆れ顔のキョン…の隣に居る緩みきった顔のクラスメイト。~
 ホントにアホみたいだからなんとかした方がいいんじゃないの?その顔。ま、そんな所が可愛いんだけど。~
「でもキョンも大概ニブいからね。参考にしたかったんだ」~
「なるほど」~
 丁度その時、キョンが僕らを呼ぶ声がした。~
「今行きます」~
 古泉君がキョンに返して立ち上がる。座ったままの僕を見下ろして微笑む。~
「国木田君の恋が成就するよう、僕も陰ながら応援させていただきますよ」~
 そう言って、古泉君は僕にウインクして見せた。~
 普通あんまりしないよね。思わず吹き出しそうになっちゃったよ。僕が誰を見てるのか、多分気付かれたんだろうな。だけど…うん。なんか結構勇気出たかも。~
「ありがとう」~
 僕も立ち上がって、二人でキョン達の方へ歩き出す。~
 そう言うわけで勇気も貰ったし、これから小細工ナシの直球勝負仕掛けていくつもりだから覚悟しておいてよね。谷口。~

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