キョン古気味(タイトル間違えましたorz)

――しまった

机と鞄を掻き回して教科書を探していた訳だが一向に出てこない。~
そういえば昨日珍しく持って帰ったんだ。日頃やらないことをやったからか。~
俺は教科書は置いておくタイプだ。多分大半の高校生はそうなんじゃないだろうか。~
そんなことより教科書だ!~
忘れたまま授業を受けるのはハルヒが五月蝿いだろうからどうにかしなければ。~
そうだ、あいつに借りようと思いついた俺は、そいつの教室へ向かった。~

「古泉いるか?」~
九組に着き、入口付近にいた女子に声をかけると「呼んでくるね」と返事が返ってきた。~
なんだかとても嬉しそうな顔をしていたのはアレか、俺って実はもてるのか。~
・・・などと言った妄想はその子が古泉に話しかける態度を見て撤回せざるをえなかった。~
その子は古泉君と話せて嬉しいオーラが全開だったのだ。~
あいつは見てくれが良い上に、態度もSOS団の時と変わらないんだとしたら女子にはもてるな。~
クラス劇の主役級の役をやれるくらいの人気者だし、そんなやつと話すきっかけができたとか~
彼女の笑顔はそういった類のものだったんだろう。俺に感謝してほしいね。~
まったく、忌々しいことこの上ない。~

「どうされました?」~
そんなことを考えていたら、いきなり古泉が俺の顔を覗き込んできた。~
「顔が近い。じゃなくて、英語の教科書貸してくれ。」~
比較的話のできる他クラスの同級生に教科書を借りる。~
別に珍しいことでもなかったはずなのに古泉は不思議そうに言った。~
「珍しいですね、どうなさったんですか?」~
「いや、俺が忘れ物するのはそんなに珍しくないぞ。」~
威張れる事ではないが事実だ。~
「いえ、そうではなくてですね、あなたのクラスからなら~
長門さんのクラスの方が近かったのではないか、と思いまして。」~
過剰笑顔の古泉の言っている事を理解するまでに時間がかかった。~
確かにこいつの言うとおり長門のクラスの方が近い距離にあった。~
理由なんて無いんだ。あるとしたらあれだ、無表情の長門から借りるよりは~
過剰だったとしても、笑顔で教科書を貸してもらったほうが良いだろう?~
まあ、言った所で付け上がりそうだから返答はこれがベターだろう~
「特に理由は無い」~
「そうですか、じゃあちょっとお待ちください、今持ってきます」~

その後俺は、古泉に借りた教科書で、授業を受けた、訳だが・・・~
古泉の教科書は、綺麗だった。蛍光ペンを使ったり、枠外にメモがあったりと、マメだった。~
ここまでは予想通りだ。~
問題はそのメモの文字だ。~
いつかの部室で書いていた乱雑な字をもっと乱暴にしたような字・・・とでも言えば良いのだろうか。~
確かに教室の授業で使う教科書はハルヒの目に留まることは滅多に無いよな。~
無いからと言ってこれは無いだろ、古泉。~
正直に言おう、全く理解できない。~
結局俺はその授業を放棄して古泉文字の解読に勤しんだ。なんという頭の無駄遣いだ。~
1時間しっかりそれに使ったおかげで古泉文字の「テスト範囲」「月曜日までの課題~60P」~
「動詞」「命令文」辺りは解読できた。もっとも、動詞や命令文に関しては教科書の文と照らし合わせた成果だ。~

チャイムにより現実へ引き戻された俺は、何をしていたんだと頭を抱えながら教科書を閉じた。

休み時間になるとすぐに九組へ行き、教科書を返却した。~
「部活の時間でも構わなかったんですよ」~
いやいやいやいや、なんかもうおなか一杯なんで結構ですから。~
別に面白いわけじゃないのに、つい手にとってしまうなぞなぞの本のような効果があるんだよお前の文字は。~
「まあ、早いに越した事は無いだろ、ありがとな」~
そう言って俺は、颯爽とその場から立ち去った。~

――古泉の教科書に「重、カ、言、司…動詞?」「日、ヨ・・・曜、月曜日!」~
  「国、田、因・・・囲!範囲!!!ktkr!!」といった書き込みをしたことをすっかり忘れたまま、な。

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