*国木田の憂鬱~ [#j64d507d]
~

 どうしても手に入れたいものがある。~
 それは、君。~

「……はい?」~

 いつもの微笑が顔から完全に消え去り、残るのは驚愕だけ。~

「えーと、なにを言っているのでしょうか?」~
「言ったままさ。僕は君が好き。僕のモノになって」~
「……僕はあなたが彼のことを好きなのだとばかり思っていましたが」~
「そういう時もあったかなあ」~

 最初はキョンが好きだった。~
 でも、キョンに惹かれる君がとてつもなく綺麗に見えて、いつのまにか愛しく感じていた。~

「古泉くん」~

 ああ、誰もいない放課後の教室はなんだか幻想的な雰囲気だ。~
 少しだけハメを外しても許される気がするのは……自分勝手?~

「僕じゃ、だめ?」~

 古泉くんの目がさらに見開かれた。~

「キョンよりも、きっと君を幸せにできる。だから僕を選んでよ」~
「……ぼく、は」~
「ねえ、一樹」~

 君がキョンを好きで好きで仕方がないのは知ってるよ。~
 でもキョンが見てるなは君じゃない。涼宮ハルヒだ。~
 君だって、分かっているんだろう?~

「流されちゃいなよ、僕に」~

 そう言って、強く引き寄せる。~

「は、離してくださっ…」~
「嫌だ」~

 背が高いから抱き締めているというよりかは、僕がしがみついているみたいになってるけど。~
 でも僕は包んであげられるはずだよ。君の悲しみも、憤りも。~

「こんなとこ彼に見られたら……勘違いされてしまいます」~
「したらいい」~
「駄目です、お願いですから。離してください……!」~

 僕ははっと身体を離す。~
 古泉くんは泣いていた。全身を震わせて、自分の体を掻き抱いていた。~

「どうして、どうしてそんなキョンのことを……!」~
「僕にだって分かるわけないでしょう! 報われないって理解し切っているというのに、止められない」~
「僕が忘れさせてあげる。止めてあげる」~

 そう言うと古泉くんは目尻の涙を拭って、微苦笑を浮かべた。 ~

「残念ながら……忘れたくもないのです」~

 辛いと分かっていてもこの気持ちを否定したくはないのだと、古泉くんは自嘲気味に呟いた。~

 僕はなにも言えなかった。正直侮っていたからだ。~
 彼の想いがここまで大きかったなんて。~

「ごめんなさい」~

 分かったから、なかないで。~

「本当に、ごめんなさい」~

 泣かないでよ……。~



 二人きりの教室。夕焼けに染まる。~

 一人残された今、僕が出来ることは泣くことだけだった。
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- 一途な古泉・・! --  &new{2007-08-11 (土) 18:16:19};
- 国木田かわいそう --  &new{2007-08-11 (土) 19:07:03};
- キュンと来た…! --  &new{2007-08-11 (土) 19:49:05};
- 古泉一途だな・・・!国木田もかわいそす --  &new{2007-08-11 (土) 20:21:40};
- 「流されちゃいなよ、僕に」とか国木田様、男前だな!! --  &new{2007-08-11 (土) 20:42:28};
- いろんなCPで何かと報われない国木田様が好きだ --  &new{2007-08-11 (土) 22:38:17};

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