古泉の頭を挿げ替えるとか †
窓際に鎮座ましましているコンピ研から強奪されてきた(らしい)高性能パソコンは、文化祭での映画編集以来、潜在能力を発揮しないままインターネットのブラウザだけを稼動させている状態だった。ちなみにらしい、の部分がかっこ付けになっているのは、その来歴が伝聞だからだ。その時の状況を教えてくれた彼の主観も混ざっていることだろうから、断定するにも些かの抵抗がある。まあこれは比較的どうでもいい付加情報であって、今はそういう話をしたいわけではない。その高性能パソコンが久しぶりに活用されている、言及したいのはここだ。操作しているのは、先述の「比較的どうでもいい付加情報」の中で軽く触れた彼。ここSOS団に所属しているもう一人の男子学生で、周りからはキョンというあだ名で呼ばれている。
「おや、調べ物ですか?」
「写真編集。」
「何に使うんですか?」
「知らん。なんかそれっぽくかっこよくいじっとけってデータ押し付けられた。」
そんな会話を交わしたのは、ついさっき、部室へやってきてすぐのことだった。ちなみに今ここにいるのは、自分と彼の二人だけだ。残りの団員は団長である涼宮ハルヒに先導されて、買い物に出かけていったらしい。何の荷物も残されていないところを見ると、彼女らはこのまま現地解散する気なのだろう。彼とは違って特に仕事を申し付かってない自分は、このまま帰ってしまってもいいような雰囲気ではあったが、習い性とでも言うべきか、パソコンの前で指南書を見ながらマウスを動かす彼を横目に、なんとなく詰め将棋などしてみたりしている。
ふと右の頬の辺りに彼から向けられる視線を感じて、そちらの方へと首をめぐらせる。目があった瞬間、彼は小さく吹き出した。僕の顔に何かついているのだろうか。香車を先に進めようとしていた手をとめて、そのまま顎の辺りを撫でてみる。その仕草を見ていた彼は、パソコンの画面とこちらを交互に見やり、今にも笑い出しそうなのを必死で我慢しているように見えた。付き合いの長さもそこそこになってきて、彼にも適度に人の悪いところがあるのを知っている。
「全く、何か変なことしてるんでしょう。」
椅子を引いて立ち上がり、相手の方へと歩み寄る。彼は慌てる様子を見せるどころか、開き直って笑い出した。
「俺センスあるわ。」
彼が指を差した方、つまり画像編集ソフトが展開されているパソコンのディスプレイへと視線を向ける。
「……なんですか、これ。」
画面の向こう側からこちらに笑いかけているのは、世界で一番よく知っている顔、鏡で見知った自分の顔だ。しかしそれは首から上だけで、その下に繋がっているのはこの学校のセーラー服を着ている、これは多分朝比奈みくるの体だと思われる。ちなみに顔がわからないのにそれを彼女だと判断したのは胸の大きさによる。別に普段からじろじろと観察を重ねているわけではないが、普通に生活をしている中でも何となくわかるものだ。別に言い訳をするわけではない。さておき、このアイコラの亜種について、何と感想を述べればいいものか。正直、これはひどい。
「いや、なんか、出来心で……くっ……。」
笑いながら彼は別の画像を開くと、僕の顔だけが抽出してあると思われるレイヤーをコピーしてそこに貼り付ける。上手い具合に顔を動かして今度はチアガールに首を挿げ替えられた。さっきよりもさらにひどい。
「もう、馬鹿なことはやめて下さいよ。」
「大丈夫、このまま保存したりしねえよ、趣味悪い。」
何が大丈夫だ、と頭を小突きたくなったが、既にこの体に染み付いている優等生キャラがそれをさせてもくれない。
「古泉団。」
などと言って今度はそこにうつっている団員の頭を、全部僕の頭に挿げ替えたりしだす。おもしろいのは理解できなくもないけれど、本人のいる前でやらなくともいいじゃないか。いや、本人のいないところでこっそりやられたなら、それはそれで微妙すぎるが。このまま放っておいて好き放題されるのも何となく恥ずかしいので、(恥ずかしがるところじゃない、とも思いはするけれど)とりあえずマウスを動かす彼の手を掴んで動きを止めてみた。
「あ、何するんだよ。」
「これくらいで勘弁して下さい、本当に。」
その暖かい手から、ふっと力が抜けるのがわかった。これはあまりよろしくない予感がする。
「今更すぎるだろ。」
聞くべきではない、とわかっているのについつい口に出してしまう。
「何がですか?」
「おまえの頭と体繋がってねえだろ、もともと。」
「仰る意味がわかりかねるのですが。」
などと返しつつ、ぼんやりとわかってしまっている自分もいる。
「俺とハルヒのこと、くっつけたがってるみたいなことばっか言って。」
「なんだ、気づいてらっしゃるんじゃないですか。」
「……いつまで手握ってんだ?離せねえの?離したくないんだろ。」
つまり彼はこう言いたいのだと思う。
「おまえ、俺が好きなんじゃねえの、本当は。」
大正解、と言って差し上げたいのはやまやまで、もうここまで来てしまえば砕け散ってもかまわないとは思う。踏ん切りがつかないまま沈黙が流れてしまうのは、怖いからじゃない。どう転がるにしても劇的な状況になるはずの場面で、視界の端にちらちらと頭を挿げ替えられている自分の姿が見えるというこれがどうにもいただけないのだ。
「今は言えません。」
「今はってなんだよ、はっきりしろよ。いくら俺が鈍いからって、流石にこれくらいわかるんだよ。」
「ええ、でも今は……。」
この反応はもしや、悪くない反応なのではないかと思うけれど、そうもしも、よしんば、仮に、万が一、いやしくも、ここで僕の望む結果(望んではいけない、という問題は保留の方向で)が得られた場合、そのきっかけはアイコラもどきになる。現実は小説のようにはいかないだとか、そういうレベルじゃない
「もういい。」
そう言って彼は僕の手を振り払うと、遊んでいた画像を全て閉じて、もともとの仕事に戻る。話しかけるな、という雰囲気に棘をつけられるだけつけて、こんな状況では同じ部屋にいるのもつらいというものだ。仕方なく途中だった将棋を片付け、帰路につくことにする。彼は一言も話さない。部屋を出る前に彼の方を振り返り、僕はこれでと挨拶をしてみたが、返事が返ってくることはなかった。廊下に響くいつもよりも若干重さを含んでいる自分の足音を聞きながら、明日どんな顔で彼に会えばいいのか考える。どうにも答えが浮かんでこない。こうなればとるべき方法は一つだ。
好きな奴に俺の顔でアイコラもどき作られた
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:51:13.52 ID:K1kanKO/0
しかも好きだってことがばれたwwwwwwwwwwwテラ涙目wwwwwwwwwwwww
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- あなたが神か!! オチで声出して笑ったwww --
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