古キョン 愛と友情のツープラトン

 

俺の後ろに立つな。顔を近づけるな。気色悪い。
「そうですか」
座った俺の背後に立った古泉が、俺を抱きすくめるように腕を回してきて、
挙句、俺の頬に唇を触れさせた。……お前は何をしているんだ。
「いえ、あなたの考えていることがわからなかったもので」
 だからっていきなり何すんだ! 
 地球の自転の方向が変わるくらいに驚くわ!
 恥ずかしながら、俺はこれまでに彼女ができたことはない。
高校生になってかわいい彼女を作ってウフフアハハな学生生活をと思っていたのに、
ハルヒとその周りに蠢く宇宙人未来人超能力者のせいでそれは叶わなくなってしまった。
だからってなんで男にファーストキスを奪われなきゃならんのだ。
「初めてでしたか。それはそれは。いいものをいただきました」
 だーっ! お前にくれてやるために取っといたわけじゃねえ! 
近づくな! 息がかかる!
「かけてるんですよ」
耳元で古泉が囁いた。
「ハルヒたちが戻ってきたらどうするんだ」
「御安心を。当分戻ってきません」
「……何故俺のシャツのボタンを外す」
「ベルトから外した方がよろしいですか?」
どっちも外すな!
「外さないと、触れられないじゃないですか」
そう言って微笑む古泉は通常の三割増で胡散臭い。
黙っていれば女子にモテモテだろうに、こいつは何をやっとるんだ。
「お前は何がしたいんだ?」
「あなたともっとお近づきになりたいだけですよ」
男同士でそんな近づき方はないだろ。
「いやですか?」
いやに決まっとるわ!
「そうですか。でも、こちらはいやではなさそうですが」
俺が混乱しながら話しているうちに、古泉の手は俺の下半身に伸びていた。
「……いやでは、なさそうですよ?」
「物理的直接的刺激を受けたら反応もするだろうよ」
「そうとも限りません」
古泉が俺の手を取り、自身の股間に導いた。でかっ!
「僕は何もされていなくても、あなたを触っているだけでこうなりました」
なんだ、そのいい笑顔は!
「好きな人とスキンシップを取れたら、誰でも笑顔になるものでしょう。
 っと、あなたはそうではないようですけれどね」
「俺をツンデレみたいに言うな」
「違うんですか?」
そう言うと、古泉は俺の体に触れるのをやめた。しかし導いた俺の手は離さない。
「僕は先日、あなたに告白をしました。あなたは『考える』と言ったままです。
 そろそろ答えを知りたいんですよ」
もう少し考えたいんだが。
「いつまでですか? 今こうしているのは、答えにはなりませんか?」
「ならないだろ」
「そうでしょうか。僕は暴力的なことも高圧的なこともしていません。
 あなたはその気になれば僕の手を振りほどくこともできるし、
 そもそもこれまでの間にいつだって逃げられた。なんなら逃げる際に、
 僕を殴ることだってできます。なのに、僕に身を委ねるように大人しく座っている。
 何故ですか?」
……何故だろう。俺は古泉のことを嫌いではない。だが、断じて男色の気はないし、
そういうことを望んでいるわけではない。
「あなたは、嘘をつきましたね」
「え?」
「物理的直接的刺激がなくなってからもう五分も経ちますが、
 あなたのソレは元気なままです。それは答えではないのですか?」
「……答えかもしれんな」
「ありがとうございます」
 今の笑顔は癖ゆえのものなのか、それとも俺にだけ向けられたものなのか、
知りたくなった。


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Last-modified: 2008-01-30 (水) 23:17:21