古キョン 世界最後の日妄想

ハルヒの力が暴走し、世界は滅ぶ。その前夜キョンがいろいろあって悪い人に捕まりリンチされる。そこに駆けつけた古泉が悪い人を倒した後に…
という話の流れなのですが、古キョンシーンにたどり着くまでにやたらと長く、回りくどくなってしまったのでそのシーンだけ投下させていただきます。


傍から見たら酷く不恰好で滑稽だろうな。いやその前に男同士なのがおかしいか、キョンはそんなことを考えた。が、次の瞬間に痛みを凌駕する深く熱い強烈な快感が肉体を貫いて何もかも忘れて声をあげた。
「あぁあっ!」
大きな反応をするキョンに古泉が慌てて根元を握ったが間に合わなく、次の瞬間キョンの陰茎から白いものが吹き上げた。
「くっ…」
古泉は自分の下腹部でキョンの精液が飛び散る感触を感じながら締まる感触に必死で耐えた。
しばらくして射精が終わったキョンが虚ろな目で古泉を見上げごめん、と謝った。
「最後なのに俺ばっかりイってる」
「全然いいんですよ、気にしないでください。それにしてもイく貴方は何時見てもイイものですね…」
「馬鹿か…」
この男はこの世界が滅ぼうとしている状況でまだそんな変態的なことを言うか。俺は身体中痛いのを我慢して頑張っているのに、と暗い中わずかに見えるにやけたハンサム面を睨みながらキョンは言った。
でも俺、この古泉が好きなんだよ。…ああ忌々しい。
そしてもう少しでこの世界が終わり、古泉と一緒に居れなくなってしまうこともとてつもなく忌々しい。

二人は何も言わず見詰め合っていたが、やがて古泉がキョンの唇にキスを落とすと腰の動きを始めた。
ベッドの足が錆びているらしくベッドが派手に音を立てる。
「ああ、いい、とてもイイです…」
熱くどこまでも絡んでくる感触に古泉の口から感想が漏れる。
「そう、かっ…」
こうして男の自分の身体で感じてくれる古泉が嬉しい、とキョンは思う。
的確に感じる所を突いてくる古泉に、キョンの性器が程無くして硬度を持った。
「ふ、いいっ、こいずっ…ああっ…」
「イイですか…?」
「ああ、っつ、んぅ」
キョンは古泉の下で涎を零しながら頷いた。
そんなキョンを見て満足そうに目を細めた古泉は太ももに添えていた手を突然キョンの中心部に伸ばした。
前でイかせてもらえるのかとキョンが思ったのもつかの間、親指でぐりぐりと先端をせき止められ、キョンは苦しさに呻き声をあげた。
「いっ、苦しぃ!やめ…」
古泉が相変わらず腰を打ち付けてきているのにそれに反して強く押さえ込まれ、キョンは子供のようにいやいや頭を振った。
「貴方、さっきは挿れてしまっただけでイってしまわれましたから。少しは我慢を覚えないと…」
「ひっ、い、離し…っ」
「最後なのに、意地悪してしまってすみません…でも貴方、可愛すぎるんですから」
これだよこれ。この性格悪古泉、とキョンは心の中で悪態を吐くが、彼の口から出てくるのは喘ぎ声と懇願の言葉だけだ。
「あ、ぐっ…イきた…」
「もう、少しです」
前立腺の裏側を執拗に抉られ、堪えられずキョンが形振り構わず殆ど叫ぶように言った。
「お、願いだから!古泉っも、イかせてくれ!」
「…しょうがないですね」
「ああぁ!!」
古泉が親指を離すとキョンは大きく身体を震わし精を吐き出し、圧搾感に堪えられず古泉も同時に射精した。

ベッドの端に腰掛けた古泉は息が整うと、隣の汗と血の味がするキョンの首筋に体重を掛けないよう注意しながら顔を埋めた。
暗くてうっすらとしか見えないが、赤黒くなった所を舐めるとキョンはまだ荒い息を吐きながら身体を離そうとした。
「熱が上がってきたみたいでまたかなり痛くなってきてるんだ」
「そうですか。…本当にごめんなさい。本当に……なにもかも」
「古泉」
「あの日、あの時どんな些細なことでも違うことをしていたら…こんなことにはならなかったのかもしれないのに」
「もうよそう、古泉。お前が謝ることじゃない。…それよりしよう」
「貴方」
滅多に自分から性行為を促さないキョンが今発した言葉に古泉は驚く。
「痛くてしょうがないんだ。せめて気持ちよくしてくれよ…」

乳首は舐められたかと思えば甘噛みされ、ペニスにはぬめらかな古泉の長く細い指が絡みつき適度な快感が与えられていた。
「はあ…っ」
古泉はベッドを降りて床に膝を付いた。古泉が口で性器を愛撫してくれることに気づいてキョンは切なそうに笑い、ありがとうな、と言った。
「お礼などには及びません。僕、あなたのなら一日中舐めてられますよ。バター犬ってやつですね」
「ホントお前って…っひ」
古泉が先端部に口付けたのでそこでキョンの言葉は遮られた。
古泉は上目でキョンの表情を伺いながら先端を丹念に舐めあげそれから裏筋に舌を這わせた。
ぬらっと赤い舌で舐めあげられキョンは大きな声をあげた。
キョンは背後に両手をついていたが痛みと快感で力がろくに入らないらしく後ろにずるずると重心が動いていた。顔は完全に頭の重みで後ろを向いている。
跪いた古泉からは視点が低すぎて見えなかったが、首筋を完全に反らして快感に堪えていることが容易に想像できた。
張り詰めていく自分の中心に手を伸ばしつつ、古泉は意識して口の中を唾液で満たすと一気に奥深くまでくわえこんだ。
「っつあぁ!」
裏返った高い声が薄暗い部屋に木霊して響いた。もうキョンの上半身は完全にベッドに倒れこんでいた。
器用に喉奥を窪め摩擦運動を繰り返すとそのうちに一際大きな声があがり、古泉の口の中に熱く苦いものが広がった。
それを古泉は迷いもなく喉を鳴らして飲み下し、キョンの弱弱しい抵抗の言葉を聞きながら先端を舌の先で刺激してやり一滴残らず吸い取った。
口を拭いながら古泉はまたベッドに腰を降ろしキョンの顔を覗いた。
熱の影響もあるのだろうが真っ赤な顔で、まだ焦点がしっかり定まっていない目が潤み、髪が額に張り付いている。
「貴方可愛いですよ、とても」
古泉は軽く触れるキスをすると、横目にキョンを見ながらすっかり痛いほど勃ちあがったものを一旦開放しようとそれを掴みあげた。
「あ…」
顔を古泉の方に向けたキョンが小さく声をあげた。
「………」
「…いいんですか?つらいですよ」
キョンの言わんとしていることを読み取った古泉が嬉しさと心配の入り混じった表情で聞いた。
「い、いいから、早く…」
それを聞いて古泉がペニスをキョンの後孔に宛がうとゆっくり腰を進めた。キョンのそこは古泉のペニスを飲み込んでいく。
キョンが腕を伸ばし古泉の背中を抱きしめた。古泉もキョンに覆いかぶさり二人の身体が密着した。
「一つですね。僕たち…繋がってます…」
視線がとても近くで絡まって深いキスが始まった。口を開けてお互いを迎え入れた、二人の温かく柔らかいぬめらかな舌が絡まる。上でも一つになっている、とキョンは思った。
「ん、ふっ、ぅ…」
キョンが呑み込めない二人分の唾液が彼の口端から垂れてシーツの色を変えた。
ずぶっずちっと卑猥な音を立てながら結合部分が動き、泡立った精液が太ももを汚す。
「いっ…はあっ…はっ」
「イイ、っいい、ですか…?」
「いい…っ古泉の熱、ぃ…」
揺さぶられながら律儀に質問に答えるキョンに古泉は胸がいっぱいになった。
ああ、大好きだ。この人が。どうしようもなくいとおしい。
「愛して、ます…っつ…」
「ふ、ああ古泉、ぁっ、あい…してるっ…くっ」
キョンは朦朧としてきた意識の中、必死に自らの陰茎に手を伸ばし力なく握った。
「う、あぁ…も…」
キョンの限界が近いことを悟った古泉がその手に上から手を重ね、キスすると同時に力を加えて上に擦り上げるとそれは白い精液をぼたぼたと零した。
そして、力なくベッドに沈み込んだキョンの中で吐精した古泉はずるりとペニスを引き抜いた。
「気をやって…しまわれたようですね」
もうすぐ世界が終わる、だから一分一秒でも長くお互いを感じていたいというのに気を失ってしまった彼を古泉は起こそうかと思った。
しかし今の凄惨な状況にそぐわないキョンの安らかな瞼を閉じた顔に思わず言葉を失った。

「ああ…世界中の時が止まればいいのに…」
無防備な寝顔に古泉は口付け、付着している乾きかけた精液を綺麗に拭った。
この瞬間、古泉は今までより一番強く自分の非力さを呪った。
世界を守るどころか、この目の前に居る愛しいたった一人も守れないのだと。
運命の女神は、涼宮さんは、僕に微笑まなかったのだ。
古泉はキョンを支えている方の反対の手で、力を失った粘着液の絡まったペニスを握ると残った精液を搾り出した。
「はっ…」
処理をしているうちに汗が引いていき、古泉は今になってやっと辺りを見回した。
先刻から今まで、ここがどういう場所でどういう所にあるのかなど調べる余裕も考える余裕も無かったのだ。
白い皺の寄ったシーツや破れた布団が乗っかっているベッドが十数個あって、ここがどこかの病院の大部屋だったということが分かった。床に散乱しているものは、枕や枕から飛び出た綿のようだ。
ここが病院の大部屋だと言うことが分かった今、この空間に気味の悪い得体の知れない怨念のようなものが漂っているような気がして、古泉は無意識に肩を竦めた。
もっとも普通のまともに機能した病院でも気持ちのいい場所だ、と言える人は少ないだろうが。
ここがおそらくキョン君と僕の終の場所になるのでしょうね。せめてもう少し情緒溢れる場所が良かったですね、と古泉は乾いた笑いを零した。
割れたガラス窓から風が吹き込み精液と血とカビと埃の異臭に混じって潮の匂いがし、風化したシーツがばたばたと音を立てた。
そういえば、ずっと波の音が聞こえていたのだ。
「海沿いの廃病院か…」
窓際に行けば海が見える可能性が高いと古泉は眠ったままのキョンを抱き上げ十歩程歩くと、窓際から2番目のベッドに腰を降ろした。先ほど自分たちがいたベッドと同じように、鉄パイプの足が錆びてぼろぼろになっているようで二人の体重できしむ大きな音が部屋に響いた。
窓の向こうに目をやりそこに海と空の境目を認識した古泉は、自分もベッドに肘をついてキョンの横に身体を倒し、額、瞼、頬、唇、首筋…傷ついていないところの無いキョンの体に唇を滑らせた。
切れて生身の肉が痛々しい本来ならば排泄するためだけの所であるそこを念入りに慰撫していたその時、色の違う光がそこら全てを背後から照らした。
古泉は我に返って起き上がった。
ついに夜が明けたのだ。
この世が、古泉の目に映る全てが、ゆっくりと朱にそまっていく。がんがんがん…という効果音が似合うような光景。
しばらくたたないうちに光の元が水平線の向こうから顔を出した。
古泉は燃えるような赤にまみれた太陽が昇るのを呆然と見ていた。
「ああ、この世界最後の日が始まって、そして終わるのですね」
古泉は誰とも無く呟いた。
「う、ん…」
キョンの微かな呻き声と共に古泉の腕の中のぐったりしていた体にわずかに力が入った。
「あ…」
気を取り戻したらしい、と古泉は視線を懐の愛しい人に向けた。
キョンの瞼がゆっくりと開いていく。
「お気づきになりましたか」
これが最後の朝ですよ。貴方の最後の目覚めが僕の腕の中で嬉しいものです、と古泉は残酷な気分になりながらも笑顔を作り声をかけた。
「おはようございます」
キョンは数回目を瞬かせ古泉を認識すると、明瞭な返事を返した。
「おはよう、古泉」
そして窓の向こうで今まさに太陽が昇っているのに気づき、ため息を漏らした。
「俺、どのくらい寝ていたんだ?」
それについてはっきりとした返事を古泉は返さなかった。
もうそんなことはどうでもいいか、とキョンは言い昇る太陽を見ながら、綺麗だ、と続けた。
「そうですね。…綺麗な日の出だ。僕こんな近くで見るのは初めてです…」
そう言いながら古泉は目頭にみるみる涙があふれていくののを止められなかった。最後の最後で堤防が決壊してしまったらしく。
泣きながら古泉はキョンの名前を呼んだ。
「ねぇキョン君」
「ん?」
「新世界で朝日を見ましょう、こうやってまた…二人で一緒に…」

ハルヒが新世界を創造するなど有り得るのだろうか。今の絶望に満ちた神に。答えは限りなくノーだ。
上から熱い大きな雫が次から次へと落ちてきてキョンの頬を濡らしていく。
キョンは身体を起こした。
「大丈夫ですか?」
ゆっくり動いたがキョンの神経はもう何の痛みも伝えなかった。
「大丈夫だ。もう痛みを感じることもままならないみたいだ」
キョンは笑いながら言った。
この世の果て、何を笑うものがあるのだろうかと思っていたがまだ笑えるんだな、と思いながら。
「そんな…」
「いいんだ、好都合だよ。古泉。もう俺は古泉を感じることができればそれだけでいいんだからさ」
古泉は涙にまみれた顔を何度か緩やかに振った。
「ああ…好きです、愛しています…この世界の誰よりも…」
「俺もだ…」

二人の唇が朝日の光を狭めながら綺麗に重なったその時、爆撃と熱い突風が世界を襲った。

                                       END

  • なんと…切ないのにエロい……GJです -- 2007-11-25 (日) 02:33:20
  • 泣きました… 切ない…! -- 2007-12-01 (土) 00:49:15


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Last-modified: 2008-01-30 (水) 23:17:15